松下幸之助一日一話
5月13日
「プロの自覚」
私は以前、寄席で短剣投げを見たことがある。それは、女の人を壁の前に立たせ、そのからだス
レスレのところに次から次えと、二十本あまりの短剣を投げるのである。そのときに私は ”これか
プロだな” と感じた。わずかでも手もとが狂えば、人の命にかかわるのである。それを毎日毎日
やり続けて一つの失敗もないというのは、実に大変なことである。しかし、それをやり遂げるのが
プロである。
考えてみれば、サラリーマンの仕事でも一緒である。こういう厳しい境地に立って、はじめて一
人前として給料がもらえるということであろう。今日のサラリーマンに要求されるのは、アマチュ
アではない ”プロ” の仕事である。