松下幸之助一日一話
5月14日
「母の愛」
私は今でも、大阪へ奉公に出る息子の私を駅まで送ってきてくれた母の姿を、はっきりと心に浮
かべることができる。涙で語ってくれた注意の言葉、汽車が出るまでしっかり握って離さなかった
手のあたたかみ・・。そのときの母は、大阪へ行ってからの私の幸せ、私の健康を、言葉では言い
あらわせないくらい心に念じていてくれたんだ、としみじみ感じる。
このように、あふれるようなというか、ひたすらな母の愛というものは、今も私の心に脈々と生
き続けているのであって、これまで仕事を進めてこられたのも、私の将来というものを心から願っ
てくれた母の切なる思いの贈り物であろうと思っている。