松下幸之助一日一話
4月30日
「困難から力が生まれる」
人間というものは恵まれた順境が続けば、どうしても知らず識らずのうちにそれに馴れて、安易
になりやすい。昔から "治にいて乱を忘れず" ということが言われ、それはきわめて大切な心構え
であるけれども、そういうことがほんとうに百パーセントできる人はおそらくいない。やはりどん
な立派な人でも無事泰平な状態が続けば、つい安易になる。安心感が生じ、進歩がとまってしま
う。
それが、困難に出会い、逆境に陥ると、そこで目覚める。気持ちを引き締めて事に当たる。そこ
から、順調なときに出なかったような知恵が湧き、考えつかなかったことを考えつく。画期的な
進歩、革新もはじめて生まれてくる。