松下幸之助一日一話
4月11日
「夢中の動き」
「この観音さまはノミがつくってくれた。自分は何も覚えていない」というのは、版画家、棟方志
功さんの言葉である。私はたまたまこの棟方さんが観音さまを彫っておられる姿をテレビで拝見
し、その仕事に魂というかすべてをつぎ込んでおられる姿に深く心を打たれた。一つ一つの体の動
きが意識したものではなく、まさに”夢中の動き”とでもいうか、そんな印象を受けたのである。そ
の姿から、人間が体を動かしてする作業というものの大切さをつくづく感じさせられた。
機械化に懸命な今日だからこそ、魂の入った作業というものの大切さを、お互いに再認識する必
要があるのではないだろうか。