松下幸之助一日一話
5月31日
「ゼロ以上の人間に」
人間の生活はすべてのことが自分ひとりではできない。着物にしても食べものにしても、他の人
の労作によってできたものだ。そのかわり自分もなんらかの労作を他人に与えて生活が成り立って
いる。つまり労作の交換である。この労作を交換しない、もらうばかりで与えるものがないという
のでは役に立たない。これはマイナスである。プラスとマイナスがゼロ以上でなければ役に立つ人
間とは言えない。
たとえば反物を三反もらったら、それを四反にして提供する人になるということだ。精神面でも
これは同じである。人に対してより高い考え方を与える。これが人と生まれて社会に役立つ人間の
姿であろう。