ハウスクリーニングと原状回復は、消費税の対象になるのか
1.原状回復義務とは
賃貸物件において、原状回復義務は敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用と並ぶほどの重要事項です。この義務の有無が退去時の金額を左右すると言っても過言ではありません。また、原状回復義務は基本的に次の入居者の為に、現在の借主が部屋を色々な意味で綺麗な状態にするということであり、傷や汚れの修繕などで借主が原因と思われるものは借主に請求されます。
ちなみに、リフォーム可能な賃貸物件では原状回復義務はありませんが、管理者に断りのないリフォームはその費用全てを請求されることもあります。その為、原状回復義務がなくても管理者への連絡は必ず行わなければなりません。これらのことをふまえて、ここではハウスクリーニングと現状回復義務が消費税の対象になるのかについてみていきます。
2.ハウスクリーニングと敷金の扱い
敷金は、建物の修繕に関する担保金であり、敷金を支払っている賃貸契約においては、修繕費用やクリーニング代が敷金から差し引かれることが多いです。規定から言えば、ハウスクリーニングの費用は貸主が負担するものと定められていますが、現状は異なります。
また、課税の対象になるかどうかで問われれば、敷金が何として扱われるのかで決まってきます。もし、減価償却として扱われる場合は、借主に変換されない敷金は家賃と同様の扱いになり、消費税が課税されることはありません。しかし、原状回復の費用として敷金が差し引かれる場合は課税の対象となります。
つまり、不動産会社が敷金を最初から契約書に減価償却として扱う旨を記載していた場合は、その敷金は非課税対象になります。もちろん、その契約内容について異議がある場合は、不服を唱えることができますが不動産会社は基本的には契約書の内容を遵守しようとするため、トラブルになることが予想されます。その為、契約後でも敷金の扱いなどに不満がある場合、はやい段階から法律の専門家や消費者相談センターに相談しておくと精神的に楽になれるでしょう。
3.原状回復義務としての金額は管理者の裁量による
建物の修繕費は貸主と借主で完全にボーダーラインが引かれています。その為、よほど借主に過失がない限りは高額な退去請求費については、その請求費の内容を考える必要があります。
また、規定として知っていも借主に全額をわざと請求する不動産会社もありますし、その請求費が実際に修繕に使われた費用なのかどうかは不動産会社の裁量によります。つまり、原状回復義務の有無に関わらず、退去の際の費用の金額は全てが実際にかかった費用だとは限らないということを忘れないでください。